歩きスマホで交通事故に遭ったときの過失割合
1 歩きスマホでの事故
近年「歩きスマホ」での交通事故が増えています。
スマートフォンを操作しながら歩いていて車や自転車と接触した場合、歩行者であっても過失が認められてしまうことがあります。
今回は、裁判例を踏まえて歩きスマホ事故の過失割合について解説します。
2 歩行者にも過失が認められる理由
交通事故の過失割合は、双方の注意義務違反の程度によって判断されます。
歩行者は「周囲の安全を確認しながら通行する義務」があり、スマートフォンを見ながら歩く行為は、この義務に反すると評価されることがあります。
つまり、「車や自転車が悪い」と思っていても、歩行者の前方不注意として一定の過失が認定される可能性があるのです。
3 裁判例の傾向
⑴ 歩行者に10%程度の過失が認定されるケース
実際の裁判でも、歩きスマホの歩行者に1割前後の過失を認める傾向が見られます。
【福岡地裁平成26年1月15日判決】
スマホを操作しながら歩いていた歩行者と左折自転車の事故で、歩行者に10%の過失を認定。
裁判所は「歩行者にも周囲確認義務がある」と判断しました。
⑵ 歩行者の過失が0%とされたケース
【名古屋地裁平成26年12月26日判決・平成26年(ワ)第494号】は、
歩きスマホの歩行者に過失0%(過失相殺なし)とした代表的事例です。
歩行者(原告)が「左手で携帯電話を操作しながら」歩いていたにもかかわらず、裁判所は「歩行者は歩道上では最大限保護されるべき存在である」として、過失相殺を否定(=過失0%)しました。
その理由は、
歩道上では歩行者優先の原則(自転車が歩道を通行する場合、歩道の中央から車道寄りを徐行すべき(道交法17条・63条の4))があります。
本件では自転車が「建物寄り・時速約10km」で通行しており、徐行義務違反を認定。
他方、歩行者側の注意義務は限定的(歩行者は「歩道上で自転車が走行してくることを予測すべき義務まではない」)。
スマホ操作はしていたが、通行態様が著しく危険であったとは言えない。
「歩行者は歩道上において最大限保護されるべき」。
よって、歩行者に過失相殺を認めるのは相当でない。
4 過失割合を左右するポイント
過失割合は一律ではなく、以下の事情で変わります。
- ・どの程度スマホに集中していたか(画面を注視していたか)
- ・相手が車か自転車か
- ・道路の状況(横断歩道・歩道・車道)
- ・相手方の速度や注意義務違反の有無
たとえば、歩道を通常速度で歩いていた場合には過失が軽くなりますが、信号を見ずに横断した場合などは過失が重くなります。
もっとも、相手の運転態様や道路状況によって過失割合は変わります。
歩行者が歩きスマホをしていなくても事故が発生していたようなケースでは、歩きスマホ自体での過失加算はされない傾向にあるといえます。
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