高次脳機能障害のため被害者本人の意思能力に問題がある場合
1 高次脳機能障害について
事故により、脳内出血や脳挫傷など、頭部に深刻なダメージを受けるケガを負った場合、言葉が話せなくなったり性格の変化が現れるなど、脳の機能に異常が現れることがあります。
これを高次脳機能障害といいます。
高次脳機能障害による障害の程度は、脳の損傷の程度により異なります。
2 被害者本人による弁護士への委任ができない場合
示談交渉を被害者自身ですることができない場合、多くの場合、弁護士に示談交渉を依頼することになります。
弁護士への依頼をするには、依頼の目的・内容やこれに対する報酬などについて理解して行う必要があります。
しかし、高次脳機能障害の程度が重いと、他者と意思疎通ができなかったり、物事の一般的な理解や判断ができないため、弁護士への依頼についても理解できない場合があります。
このような場合、被害者と弁護士が、形式上は書面で示談交渉についての契約を交わしても、被害者が契約内容を理解していないことなどを理由に、示談交渉のための契約(弁護士への委任契約)が無効と認定されるおそれがあります。
もし無効とされた場合、弁護士による示談は、被害者と弁護士との契約が有効であることが前提であるため、示談も無効となってしまうことになります。
3 被害者が弁護士への委任ができないときの対策
被害者がどの程度理解力を失っているかを確認した上で、弁護士との契約を理解するだけの能力がないと判断された場合には、家庭裁判所に成年後見人の選任を申立てます。
成年後見人が選任されると、成年後見人が被害者本人に代わって、被害者本人に関わる契約について対応することができるようになります。
そこで、成年後見人が示談について弁護士と委任契約を締結すれば、被害者本人との間でも有効な委任契約が締結されたことになります。
このようにしておけば、弁護士との委任契約が無効となり示談も無効となるという事態を避けることができます。
本人に高次脳機能障害の自覚がない場合 むちうちで弁護士をお探しの方へ























